ほろほろ旅日記2008
6月7日〜9日 福岡・博多行



2008年6月7日(土)8日(日) 往路 兵庫→福岡


●条件合致
 神戸製鋼の練習試合があったのは神戸の灘浜グランドで、今から乗ろうとしているのは九州は門司港に向かう船。六甲アイランドから出るので、ここからだと一足の距離だ。出航予定時間も18時20分と、16時前に練習試合の観戦が終わる身としてはなかなかのタイミングだ。元々は深夜発の夜行バスに乗ろうかと考えていたのだが、このタイミングの良さと早期割引を使った際の料金の安さにつられ、船で向かうことにした。

 それにしても、やはり徹夜明けの観戦はきつい。朦朧として集中しにくくて仕方ない。

 六甲ライナーで一駅だけ乗って(200円)アイランド北口へ。ここからフェリー乗り場まで無料送迎バスが出ている。阪神御影駅、JR住吉駅からも出ているが、そっちは220円かかるので、灘浜まで来ている身としては、所要時間を考えてもこっちが正解だよな。回り込んで下に降り、フェリー送迎バス乗り場に到着。

 待つこと数分でバスが来た。車窓から見る六甲アイランドはいかにもな場所だった。道路、ビル、妙に立派でおしゃれだ。本当に外国人が多いし。こんな所もあるんだなあ。


●フェリー乗り場
 バスはほどなくフェリー乗り場に着いた。そういや船に乗るのって久しぶりだ。

 乗客は、団体客が目に付いた。グループで集まってるから話をするため目立つってだけではなく、数も多いように感じる。船内でのレストランも、乗船すぐから使えるのではなく、団体客が済んでからになるので18時30分以降でお願いしますとわざわざ言われたし。

 ちなみに、乗ることになる船の名前は「やまと」だ(^^;

 それにしてもしんどい。そろそろ丸一日起きてる計算になるが、朦朧度合いがさらに激しくなってきた。


●乗船
 17時20分に搭乗が開始された。とりあえず団体客が行ってから乗ろうかとのんびり構えていたのだが、一向に列が前に進む気配がない。何かトラブルが起きている風でもないし、どうしたんだろう。そう思って見てみると、メインの搭乗口は、連絡通路に上るエレベーターの順番待ちをしていた。そりゃあ進まないわけだ。周囲を見回すと、他にエスカレーターで向かう入り口もあったが、そっちは全然利用者がいなかった。ならこっちから乗り込むか。

 にこやかで愛想のいい船員に迎えられて乗船。2等船室はたくさんあるが、女性専用室でなければどこを使ってもいいと言われたので、奥へ。一番乗りになる部屋を見つけたので入り、窓際の寝所を確保。もちろん頭が進行方向に向く側だ。利用客の少ない時期だからかもしれないけど、ずいぶん余裕を持って毛布が置かれているなあ。ゆったりできていいけど。部屋自体も思っていたよりずっと広いし。空調もよく効いていて、涼しいと寒いの中間くらいに感じる。後で案内所で尋ねたところ、23,4度に設定しているそうだけど。いい温度じゃないか。室内に人が少ないからかなあ。

 そうやって落ち着いてしまうと、出航するまですることがなくなってしまった。展望デッキも風呂も、出航前に行く気分にはなれないしなあ。仕方なく、少し売店を覘いてから、部屋でごろごろ。そろそろ24時間起きているので、横になっているとこのまま寝てしまいそうになる。せめて風呂には入ってからにしないと。出航五分前に、ようやく部屋に他の乗客がやって来た。四人組の兄ちゃん達だ。あんまりうるさくなければいいんだけどなあ。


出航
 ともあれ、船は定時に出港した。
 ので、早々に風呂に向かう。貴重品は脱衣所にある返却式コインロッカーを使うので安心だ。同じタイミングを狙っていた乗客がそれなりにいたようで、浴室はそれなりに人がいた。いやあ、旅をしながらゆったりと風呂に入れるというのは素晴らしく贅沢だなあ。展望浴場という言葉に多大な期待をしていたが、船だからそこまで窓は大きくなく、正直これなら出航前に入っても良かったかなとも思ったけど。でも、微妙に揺れる中の入浴というのも面白かったからいいや。

 そのまま部屋に戻ると暑そうだったので、展望デッキに出て風に身をさらしてクールダウン。ああ、気持ちいい。ゆったりと、広々としていて、贅沢な旅だ。風が強いので少々寒いが、風呂上りの体にはそれがまた気持ちがいい。この移動中の行動の自由さが船旅の良さだよな。ほかの交通手段ではこれはない。
 

 時計を見ると、18時50分。明石海峡大橋をくぐるまでまだ半時間近くあるので、今のうちに夕食を食べることにしてレストランに行く。
 カフェテリア方式なんだ。これは大体どこのフェリーでもそうだなあ。どのおかずもそれなりの値段だけどおいしそうで、悩む。久しぶりに唐揚げを食べてみよう。うん、カラッと揚がっていておいしい。選んで正解だ。
 と食べていたら、船内アナウンスが流れた。まもなく明石海峡大橋の下を通過する、と。思ったより早いじゃないか! 残りを大急ぎで食べ終え、再び展望デッキへ。おや、まだそれなりに距離あるじゃないか。普通に食べ終えてからでも良かったような。

 それにしても、人が多いな。いいタイミングでの観賞スポットだからなあ。明石大橋は普段見慣れている僕にしてからが、下からというのは滅多にないからと出てきているくらいだし。











 ふう、堪能した。


●夜の船
 橋も見たし、満足して中に戻り、売店で生クリームたっぷりのパイシュー150円なりを食べていたら、強烈な睡魔に襲われた。そっか、さっき夕食食べたもんなあ。寝てしまわないようにこの24時間はものを食べてなかったから、余計に来たのかもしれない。
 まだ19時30分になったばかりで、消灯時間の22時は先だが、関係ない。早いけど横になるとしよう。船内で暇つぶしに本を読もうと思っていたけど、とてもそんな気力はないや。船室に戻ると、兄ちゃんグループは食事に行っているのかいなかった。まあいいや。服を着替えて携帯電話を充電器にセットして、おやすみなさい。大の字になって眠れる夜行なんて、船くらいなものだろうな。

 ……2時半に目が覚めた。当然だが、非常灯以外の明かりはない。

 深夜に目が覚めてしまったが、寝たのが早かったので、7時間は寝た計算だ。瀬戸内航路だからか、あまり揺れてないのも快眠の一因だろう。
 なぜか上半身は服を脱いでいた。暑かったのかな。暑いと寝ながら脱ぐ癖があるんだよなあ。だとしても、公共の船室で無防備すぎやしないか、自分(^^;
 ……あれ?
 同室だった兄ちゃん四人組の姿がない。姿どころか荷物さえない。船は神戸を出たら門司までノンストップなので下船したというのはないけど、どこかに空いてる船室でも見つけたのかな。ということは、この広い二等船室、僕の貸切か! 気楽でありがたいけど、阪九フェリーの経営は大丈夫なんだろうか(^^;
 ともあれ、せっかく目が覚めたので、とりあえずトイレに行く。

 完全に無人というわけでもなく、この時間でもぽつぽつとは出歩いている人がいる。中央エントランスで流れっぱなしになっているテレビでは、サッカーをやっていた。なんかユーロなんとかという大会らしい。眠いので見ないけど。にしても綺麗で清潔感があって落ち着いてて、いい船だよなあ。
 

 このまま起きているのもしんどいので、もう一眠り。うつらうつらとしていたら、5時になって船内に明かりが点いた。なら、本でも読むか。
 5時半になって船内アナウンスも再開された。現在船は山口県宇部沖を航行中らしい。
 まだ到着まで一時間以上あって暇なので、朝風呂に入り、デッキでくつろぐ。つくづく船旅の気楽さは素晴らしい。


●着岸
 定時に新門司港に無事到着。港以外は田舎の町って感じの眺めだなあ。

 ここからは、無料送迎バスで小倉まで。昨日の神戸では、送迎バスを使っている人はそれなりにいた印象だったけど、こっちのバスに乗り込んだのは、僕を含めて五名だけだった。あらら。みんな知り合いに迎えにきてもらったとかなのかな。

 発車してすぐ、中華風のど派手なフェリーターミナルが目に飛び込んできた。なんだこれは!


 バスは最初山中を走り、

 北九州市の市街地に出た。日曜の早朝だからか、市街地の道も空いている。ゴールデンウィークに友人の車で宗像を目指して通った時は車が多かったので、こんなガラガラの道をすいすい走っていくのは正直違和感がある。ありがたいんだけども。
 それにしてもこのバス、信号待ちでは必ずエンジンを切っている。アイドリングストップを徹底しているな。珍しい。

 門司駅、砂津に途中停車して、ほぼ予定時刻に小倉駅北口に到着した。 
 念のために帰りの名門大洋フェリーの送迎バス乗り場を確認しようとしたが、よく分からなかった。まあいいか。



●JR九州
 どうせ会場で何か食べるのだからと何も買わないつもりでいたのだが、途中のパン屋さんがいい匂いだったのでつい二つほど購入。うん、おいしいや。
 近代的な小倉駅の駅ビルを眺めつつ、博多まで1250円の切符を買い、改札を通る。


 よく分からなかったので、7時34分発の鳥栖行き普通に乗った。快速とかあったと思ったんだけどなあ。まあ、これでも十分間に合うからいいんだけど。
 それにしても、相変わらずJR九州の車両は外装も内装も派手だ。シートの布地が黒字に赤って、落ち着かないよ(^^;


 乗っていたら車内アナウンスがあったので、八幡で快速に乗り換える。

 快速列車の車内も思ったより空いていて、楽に座ることが出来た。のんびりと列車旅を楽しみつつ博多に向かう。


 途中うたた寝をしていたので目がさめた時にどこを走っているのか分からなかった。アナウンスもエンジン音にかき消されてよく聞き取れないし、駅名表示を見ようとしたらJR九州の駅は駅名板の数が少ないので分かりにくかった。これはちょっと不便だなあ。
 列車は、博多が近づくにつれて停車する駅が増えていった。ほとんど各停なんじゃないのかというほどに。
 ともあれ、博多駅に到着。



●バス移動
 ここから目指すレベルファイブスタジアム(博多の森競技場)へは、西鉄バスに乗るか、地下鉄&歩き(又はシャトルバス)かの二択になるのだが、この時間なら一時間に一本の西鉄バスに乗れそうだ。ということで、バスセンターに向かう。
 目指す39-Bのバスはそんなに込んでなくて、楽に座ることが出来た。やはりメインの試合が午後二時、前座の試合でも十一時からなのに、朝九時というのはかなり早いもんな。

 おお、このバスもアイドリングストップしてるよ。これは少なくとも福岡全域で行われているということか。信号待ちで静まり返った車内は不思議な感じがするけど、いいことだよな。
 九州といっても博多は関西からだとほぼ横移動なので、特に暑いとは思わないけど、町行く人の格好は違う。特に若い女性は、短い半ズボン(なんと呼ぶのかは知らない(^^;)を履いた人が多く、地域の特性が現れている。

 やがてバスは福岡空港の横を通りかかった。地図で見て知ってたけど、バスの車窓から飛行場が見えるというのは面白い。

 そんなこんなで、バスは目指す東平尾公園入口の停留所に着いた。270円。おお、ここからでもレベルファイブスタジアムは見えてるんだ。

 
 歩いて向かっていると、まだ9時半なのに、他にも向かっている人が何人もいた。僕は交通機関の関係でこの時間だけど、気合が入ってる人もいるんだなあ。



 国際試合観戦についてはラグビー観戦記の方でどうぞm(_ _)m
 観戦記(過去ログ)



2008年6月8日(日)9日(月) 復路 福岡→兵庫



●博多駅へ
 スタジアムを出て、のんびりと歩いていく。シャトルバスか路線バスにタイミングよく乗れればよし、乗れなければ歩いて地下鉄の駅まで行けばいいという気楽な気分だった。
 すると、行きに降りた東平尾公園入り口のバス停に人だかりが。何かと思ったら、「シャトルバス乗り場」との看板が。せっかくだから乗って行くかと列の後ろに並ぶ。待つほどもなくやって来たバスは、しかし待っていた人を全て乗せることはできなかった。
「まあいいや、次まで待つか」
 と友人と話していると、後ろにもう一台のバスがやって来た。シャトルバス、一体何台走らせてるんだと思って見てみると、行きに乗ってきた39-Bの路線バスだった。こちらに乗れば、一気に博多駅まで行けるうえ、かかるお金も少なくて済む。一時間に一本しかないバスにジャストのタイミングで乗れるとは思ってなかったよ。スタジアムでうだうだしてたのが結果的に良かったんだな。しかもこちらの路線バスは、正直ガラガラで、楽に座れたし。

 17時10分に博多バスセンター着。友人は、久々に出てきた博多で買い物をする用事があるとのことで、ここで別れることに。
 僕の方は、今から駅に行ってちょうどのタイミングの列車が、普通料金で乗れる便で船に間に合う最終接続だから駅に向かう。
 駅の博多口前で友人とまたなと言っていると、号外を配っているのに出くわした。号外なんて、実物は初めて見るよ。何事かと思って見てみると、秋葉原での通り魔事件の速報だった……。


●新門司港へ
 博多駅17時22分の快速に乗り込む。さすがにターミナル駅からだから、それなりに混んでいる。どうせそのうち空くだろうと思い、壁にもたれて外を眺めていた。

 聞くともなく周囲の人の会話を聞いていると、九州地区には全く馴染みがない身なのに、地元の方言での会話がしっくりと耳に馴染む。なぜだろう。何回行っても東京で聞こえてくる会話は違和感の塊なのに。

 予想通り徐々に乗客が減っていき、福間駅で大量に降りたため、座席が空いた。ありがたく座らせてもらう。JR九州の車両は、座ってもたれると頭のところにぴったりとシートが当たるんだ。これは快適。

 うたた寝していたら、折尾駅の手前で改札が来た。「お休みのところ申し訳ありません」と言われると、なんかこっちが申し訳ないような。

 それにしてもこの路線の快速列車って、博多と北九州の都市部では頻繁に停車するなあ。関西の新快速みたいに、もっとすっ飛ばして走る列車の需要はないんだろうか。人気出ると思うんだけどなあ。それともそういうのは、特急列車の役目なんだろうか。
 などと考えているうちに、小倉に到着。

 名門大洋フェリーの無料送迎バスの発車予定時刻まではあと10分ほどだ。微妙に余裕があるので、今朝食べておいしかったパン屋に寄ってから北口に向かう。
 北口の階段を下りていくと、車体に「名門大洋フェリー」と書いたバスが一台だけ、バス駐車場に停まっていた。これならHPに乗車場所の地図を書かなくても確かに分かる。乗り込んでみると、なかなかの乗車率だ。空きシートがほとんどなかった。阪九フェリーとは違うなあ。

 違うといえば、車内にラジオ(FM福岡?)の放送が流されていたのも印象的だった。アイドリングストップした時の静寂を紛らわせるためなんだろうか。まあ、そんなことをしなくても、さすがは大阪に向かう便と言うべきか、車内で声高にしゃべっている人が何人かいたんだけども。

 バスは発車し、新門司港に向かう。バスは海沿いの国道を走っていく。鉄道でも思ったけど、福岡の道や線路って、水面とあまり高低差がないところを走ってるよなあ。間に高い堤防とかもなかったし、台風とかで溢れてきたら困ると思うんだけど、そんなことにはならないんだろうか。
 ともあれバスは門司駅に到着。駅前の小さなロータリーには路駐している車が数台いて、そのままだと通れないバスは無言のプレッシャーをかけてどかせていた。路駐はともかく、乗用車の側からすれば、こんなロータリーに普通のバスが入り込んでくるなんて思わないよなあ。

 
 途中ただの田舎道としか思えないところを通ったりしながら、バスは新門司港に到着した。


●名門大洋フェリー
 到着した時点で既に乗船は開始されており、早速乗り込む。

 ここまでの手際とか、船内の雰囲気とか、なんというか大阪っぽいなあ。阪九のどこかのんびりした雰囲気とは違う。大阪便と神戸便の違いなんだろうか。

 さて、今日は名門大洋フェリーがやっているキャンペーンで、2等洋室の料金で特別2等洋室に泊まれるというものがあり、さらにはインターネット予約割引2割引もあり、2等の定額料金とほぼ同額で特2等に泊まれたので、折角だからとそっちにした。HPの情報で予想はついていたが、案の定、指定された船室はカプセルホテルとほぼ同じものだった。

 窓がなくて外が見えないし、大の字になるほどのスペースもないが、仕切られた個別スペースが与えられていると言うのは安心感はある。各ベッドにテレビがついているのも退屈しのぎにはちょうどいい。が、それでも、なんだかと思ってしまうのは、旅情を求めてしまっているからだろうか。

 ともあれ、まずはざっと船内を巡ってみる。なんか分かった気がする。混んでてうるさいとかだけでなく、船の間取りが、設計が、僕の嗜好にいまひとつ合わないんだ。加えて売店横の案内所ではなにやら偉いさんっぽいおっちゃんが、ダブルブッキングがあったらしく、大声で怒鳴りながら指示を出している。展望デッキに出ようとしたら、その直前のエントランスホールが喫煙スペースで、タバコの臭いを嗅がなくては外に出られない(後で、船室側の通路からも出られることが分かってこの問題は解決)。

 2等船室を覘いてみたら、部屋の真ん中が通路状に仕切られてて、面積の割にいまひとつ開放感がない。

 などなど、なんだかなあと思ってしまった要素がいくつかあった。まあ、それでも夜行バスよりはるかに快適だというのは変わらないんだけど。

 展望デッキに出てみた。やはり海の風は気持ちがいい。
 
 それにしてもこの段差のある展望デッキといい、船内のレイアウトといい、なんか子供の頃、親と一緒に乗ったフェリーに似てる気がするんだよなあ、ここ。もしかしてそうなんだろうか。


●出航
 ここで、昨夜の経験を思い出して、出航前に浴場に行ってみる。ビンゴ!
 浴室はガラガラだった。昨日の僕と同じ発想で、出航したら混んでくるんだろう。今のうちにゆっくりと湯船につかる。船が出港して窓の外の景色が流れ、案の定人が増えてくるまでたっぷりと入ってから上がった。
 十分すぎるくらいに温まったので、ほてった体を冷ますために再度外に出る。一度ベッドに戻って浴衣に着替え、備品のスリッパを突っかけ、水分補給に自動販売機で買ったスポーツドリンクを手にして。もう外はすっかり夜だが、夜景は夜景で味があっていい。

 こののんびりとした開放感は船旅ならではのものだよな。素晴らしい。昨日も今日も、素晴らしい気分転換になっている。

 体がいい感じに冷めてから船内に戻る。しかし、船内に浴衣姿の人、少ないなあ。昨日はあんなにたくさんいたのに。やはり客層が違うんだろうな。
 この船は20時に出航し、21時30分にはレストランが閉まってしまう。なので、とっととレストランに向かう。
 ……あれ?
 この船も昨日と同じカフェテリア式なんだけど、なぜだろう、食指がそそられるものが特にない。ならば、定番中の定番、カレーライスだ。そんなに高くならないしね。

 大盛を頼んだので100円UPで700円だった。そういやこの船には焼きたてパンってないのかな? 売店にもそれっぽいのは売ってないようだけど。そういえば小倉で買ったパンがあったっけ。食後に再度デッキに出て、夜景を眺めながらのんびりとパンを食べる。ふう、満足。

 食後、船内のロビーでくつろごうかと思ったが、どこもかしこも人でいっぱいで実ににぎやかだ。人ごみが苦手な僕は、これではくつろげない。まあ、人気のないデッキで散々くつろいできたからいいんだけど。夜用のスポーツドリンクを買い込み、部屋に戻る。
 ごろりと寝転がってテレビをつける。ここにいると体に感じる微妙な揺れ以外、船旅っぽさはなくなるが、確かに楽だ。一等とかはビジネスホテルっぽいので、もっと楽なんだろうな。そう考えていくと、宿泊費+移動費でこの値段なんだから、フェリーって安い交通手段だよなあ。
 普段テレビを見ないので、久しぶりに見ても特に興味を惹かれる番組もない。少し早いけど寝よう。


●大阪南港へ
 22時過ぎに寝て、3時40分にトイレで目が醒めた。普段は朝まで寝てるんだけど、昨夜超早寝早起きした影響が残ってるんだろうか。ともあれトイレに起きる。浴衣で寝るといつもそうだけど、寝ている間に全開になっている。寝間着の役を果たしていないよなあ。僕の寝相が悪いだけで、他の人は普通に着たまま眠れているんだろうか。
 
 部屋のテレビで運行状況を見ると、船はちょうど瀬戸大橋を通過したところだった。しまった……! 分かってたら、せっかくこんな時間に起きたんだから、デッキに出て見物したのに。もったいない。

 朝まで時間はあるが、眠気はほとんどない。起きてても何もすることがないので、ベッドでごろごろしつつ、テレビを見たり本を読んだりして過ごす。こういう時、面白い番組がなくてもテレビがあると時間が潰せるので便利なんだよなあ。しかし、夜行で二夜連続泊したのに、九州を往復したのに、この疲労の少なさはなんだ。ありえないぞ。どこへ行くにせよ、時間さえあれば、船旅は検討する価値がありそうだ。

 そのままぼんやりと時間を過ごし、気がつけば大阪南港着岸20分前になっていた。朝食を食べないと、無理に置きだす必要がないとは言え、本当にぎりぎりまで転がってたんだなあ。もそもそと着替えて置きだすが、この季節の朝8時前だから、外は十分すぎるほど明るかった。

 そして窓の外にはたくさんのフェリーが。港が。大阪南港だ。

 人が続々と降りていく。人の波が一段落してから下船する。関西に戻ってくると、ほっとするなあ。



●帰宅へ
 船を降り、フェリーターミナルのほうへ歩いていく。この構造って、雨の時は傘が必需品なんではないだろうか。

 ここ大阪南港には、最寄の鉄道の駅があるんだよな。便利だ。その名もフェリーターミナル駅。ニュートラムの駅だけど、地下鉄に連絡しているから問題はない。関西の鉄道だからICOCAが使えるはずだし。

 フェリーターミナルから案内板に従って歩いていく。一本道だから迷うことはないけど、結構長いなあ。なんか飽きてきたよ。
 
 それでもやがては着くわけで。
 フェリーターミナル駅では、予想通りICOCAが使えた。
 どちら行きに乗っても大差なさそうだったので、ちょうど来ていた住之江公園行きのニュートラムに乗り込む。ここでもニュートラムはナローゲージなんだなあ。しかし、帰れるのは間違いないけど、どんどん家から遠ざかっていくなあ(^^;
 住之江公園駅で地下鉄四つ橋線に乗り換える。空中の高架駅から地下駅へ、一気に下る。路線図を見ると、この線は西梅田まで行くようなので、はじめは大国町で御堂筋線に乗り換えるかとか考えていたがやめにして、最後まで乗っていくことにする。そういや四つ橋線を最初から最後まで乗るのって初めてだなあ。そして四つ橋線の南側って初めて乗るけど、前職で営業に走り回った地域でもあるので、駅名にはやたらと馴染みがある。変な感じだ。

 はじめは空いていた車内も、大国町駅から一気に増えた。平日朝の大阪の地下鉄だしなあ。
 西梅田駅から大阪駅までの道のりは、一方通行を逆走する気分だった。通路の幅いっぱいの人の波が、僕に向かって押し寄せてくるんだから。大阪駅から来る人と向かう人の比率は、これは500:1もないだろう。流れに逆らってるから仕方ないんだけど、歩きにくいなあ。
 そして大阪駅は桜橋口に到着した。久しぶりだけど、ここからは馴染みの路線だ。なんとなく本当に帰ってきた気分になってきた。さあ、家までもう一息だ。


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